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食品プロモーションで日商30倍。Doleバナナ番長の販売戦略

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通常1日20〜40パックの店舗で1000パック超。株式会社ドール様のバナナ番長企画を、食品プロモーションの設計として分解します。産地の北上で価格が上がり、若者の果物離れが進むなかで、なぜキャラクターが指名買いに変わったのかを追います。 

1日20パックの棚が、1000パック売れる棚に変わった理由

青果売り場のバナナは、めったに主役になりません。特売の目玉にはなっても、客が名前で指名する商品でもありません。だからこの店舗の1日20〜40パックという数字も、取り立てて騒ぐものではありませんでした。

その棚で、キャンペーン期間中に1000パック以上が売れた日があります。トレーディングカードを付けた期間には、日商が通常の30倍に達した店舗も出ました。売り場の面積は変わっていません。バナナの中身も、価格帯も同じです。株式会社ドール様が変えたのは、客がその一房に手を伸ばす理由だけでした。

ただ、本当に見るべき数字は別にあります。キャンペーンが終わったあとです。棚は元の20〜40パックには戻らず、通常時の2〜3倍で売れ続けたのです。跳ねたのは売上ではなく、水準そのものでした。

販促と投資の違いは、いつもここに出ます。祭りが終わった翌日の数字が、それまでの設計を採点します。この記事では、ドール様とノーツデザインオフィス(NDO)が何を判断したのかを、順に分解します。

依頼は「15年前を超える企画」。課題はまず知ってもらうこと

ドール様からNDOへの依頼は、15年前の企画を超えるものをつくってほしい、という一言でした。15年前とは、香取慎吾さんを起用した「ドールマン」のことです。

ドール様が扱う商品の中心はフルーツです。そしてフルーツには、やっかいな性質があります。食べれば美味しさが伝わる。裏を返せば、食べるまでは伝わらないということです。広告に味は乗りません。

だからドール様が掲げていた目標は、売上を積むことの一段手前にありました。Doleというブランドを知ってもらい、指名して買われる状態をつくること。まず興味を持ってもらい、そのうえで買ってもらう。この二つが最初の課題でした。

依頼と目標を重ねると、輪郭が変わります。求められていたのは、話題の大きさで前回を上回ることではありません。指名買いが残る状態を、売り場につくることでした。NDOは課題を、依頼文の一段下から定義し直しました。ここを読み違えると、その後の打ち手はすべてずれます。

今までの産地ではバナナが育たなくなり、価格で戦う道は消えた

課題を決めたら、次は戦える場所の確認です。NDOは、バナナという商品が置かれた市場を先に見ました。

市場の地面は動いています。少子高齢化と物価上昇が重なり、若い世代からフルーツを食べる習慣が抜けていきました。果物は、家計が締まると真っ先に食卓から外れる品目です。

主力のバナナには、産地の問題も重なります。温暖化で、赤道付近ではバナナが育ちにくくなりました。産地は年々、北へ上がっています。北へ上がれば人件費が上がり、量販店に並ぶ1房の価格も上がります。

食べる人は減り、値段は上がる。この二つが同時に進む市場に、安さを競う道は残っていません。特売の常連になるほど、指名買いからは遠ざかります。ドール様とNDOは、価格以外の理由で選ばれる設計に絞りました。食品プロモーションの選択肢は、市場の形で決まります。

起用したタレントを、最大限に売り場で魅せるには

ドール様とNDOが最初に置いた問いは、JO1の佐藤景瑚さんという存在を、どうすれば最大限に使い切れるか。企画は、この問いから生まれています。

タレント起用には、構造的な弱点があります。露出は契約期間が終われば止まります。広告が終わった瞬間、売り場には何も残りません。15年前の「ドールマン」を超えるとは、話題の大きさで上回ることではなく、この弱点を超えることでした。

そこでNDOが用意したのは、誰もが面白おかしく好きになれるキャラクターです。バナナのリーゼントを被った、学生の番長。名前は「バナナ番長」。佐藤景瑚さんがこの役をまとうことで、タレントの露出はキャラクターという形に変わります。キャラクターなら、本人がその場にいなくても売り場に立てます。等身大パネル、トレーディングカード、シーズナルビジュアル。同じ人格が、年間を通して棚の前に立ち続けます。

番長という記号を選んだ理由も、ここにつながります。番長やリーゼントは、それが流行した50代以上には説明なしで通じます。同じ記号が、10〜20代には見たことのない異物として映ります。佐藤景瑚さんのファン層である10〜20代には、面白い違和感として届く。一枚の絵で、親の世代と子の世代を同時に取りにいく設計でした。

NDOは提案だけで終わらせず、ストーリー、衣装、店舗ビジュアル、広告、WEBまでを一括で制作を行いました。制作物はバナナ番長の実績ページにまとめています。

1年間、飽きない売り場を目指す

キャラクターができても、棚は動きません。動かすのは運用です。ドール様とNDOは、バナナ番長を1年間走らせる前提で組み立てました。

まず用意したのが、シーズナルビジュアルです。季節ごとに絵柄を差し替え、同じ棚を何度も新しく見せます。1年は、一枚の絵が耐えられる長さではありません。飽きられることを前提に、切り替えの回数を先に決めました。

次に、販促ツールと等身大パネルを店舗へ送り込みます。推し活が定着した市場では、推しに会える場所そのものが目的地になります。スーパーに行けば、推しがいる。ドール様とNDOは、この状態を全国の売り場で同時につくりにいきました。

食品プロモーションでよく抜け落ちるのは、認知を取ったあとの設計です。条件に置いたのは二つでした。気軽に会いに行けること。自分の街に推しがいること。売り場が来店の目的になった瞬間、バナナは買い物のついでではなくなります。

限定グッズとトレカという販売戦略

リリースから半年が経つと、購買の勢いは落ちてきました。想定の範囲です。どんな企画も鮮度は落ちます。用意していたのは、落ちた場所で打つ次の一手でした。

投入したのは、限定のオリジナルグッズが当たるキャンペーンです。回復を待たずに動いたのは、勢いが自然には戻らないからです。もう一度買う理由を、売り手の側から差し出す必要がありました。

トレカを付けた施策は、多くの量販店が自分の売り場に取り入れました。ここが効いています。トレカは客への訴求であると同時に、量販店に対する提案書でもあるからです。カード目当てで複数パックを手に取る客が出れば、棚の回転が上がります。バイヤーが乗る理由はそこにあります。

販売戦略の核心は、販促物の位置づけを入れ替えたことです。おまけとして配るものから、買う理由そのものへ。日商が通常の30倍に達した店舗が出たのは、この転換のあとでした。

渋谷・大阪・名古屋の巨大広告を出稿

投資は、売り場の中だけで終わりません。渋谷、大阪、名古屋。この3都市に、巨大広告を掲げています。

理由は、売り場の施策に構造的な穴があるからです。等身大パネルもシーズナルビジュアルも、スーパーに来た人にしか届きません。来ない人にとっては、企画が存在しないのと同じです。

売り場と屋外広告では、担う仕事が違います。売り場は買う理由をつくり、屋外広告は話題をつくる。ドール様はこの二つを、別々の投資として扱いました。

NDOが考える、食品プロモーションの本質

バナナの価格は、これからも上がります。産地の北上が止まらないかぎり、コストは下がりません。値上げの局面で最初に効かなくなるのは、認知を取るだけの広告です。安くて良いから買う、という理由しか客に渡していないからです。

ドール様と積み上げたのは、価格の外側にある理由でした。バナナ番長に会いたい。トレカを揃えたい。グッズが欲しい。この種の理由は、1房の値段が上がっても消えません。

タレント起用は、多くの企業が使える手です。差が出るのは、その起用を何に変換するかです。話題で終わらせるか、売り場に残る人格に変えるか。同じ予算でも、設計次第で残るものが変わります。

商品のプロモーションは、ブランド価値を上げるためだけの活動ではありません。コアなファンを先につくり、値上げに耐える指名買いを残す。この設計があるかどうかが、費用と投資を分けます。扱う商品がバナナでなくても、採点の仕方は変わりません。

NDOが引き受けているのは、キャラクターやビジュアルの制作だけではありません。何をどうすれば解決できるのか分からない、という段階からの伴走です。今回も、依頼の言葉を課題に翻訳するところから始まりました。課題がまだ言葉になっていない段階でも、話を聞くところから、プロモーションの公開後、さらに次のステップまで、シームレスに包括サポートいたします。

バナナ番長企画における、NDOの担当領域

  • 企画・キャラクター開発:キャラクター提案、ネーミング、ストーリー制作
  • グラフィック:衣装デザイン、店舗ビジュアル、シーズナルビジュアル
  • 店頭販促:販促ツール、等身大パネル、トレーディングカード企画、限定グッズキャンペーン
  • 広告:渋谷・大阪・名古屋の屋外巨大広告
  • WEB:WEBデザイン

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